--  住宅のあり方  --

 

住宅のあり方
広く 明るく 伸びやかに ---- 住宅設計は、この3点が基本だと思います。
 勿論、家族のあり方やライフスタイルの理想、デザインの趣味、収納の工夫、将来への展望から敷地の状況・コスト・法規に至るまで、時間をかけて徹底的に議論し検討し尽くさなければならないことは様々にあるでしょう。しかし、そうした設計の必要条件の元に生み出される空間は、あくまでも伸びやかでありたいと思っています。
 そのために 内外空間を一体化しようと、《外の部屋・内の庭》を創ろうとしてきました。ウッドデッキのような外部空間は、コストも法規制も殆どかかりませんが、上手くデザインすれば《外の部屋》として、敷地を多様に使えます。さらに内部と一体化することによって、内にいても実際以上の拡がりを得られるのです。
 また密集地の都市住宅では、すぐ向こうに隣家が見える暗い庭を作っても、なかなか魅力を生み出しにくいですが、中庭を作って空を取り込めば、とても豊かな空間になります。「空」は、都会に残された最後の自然として、どんな場所からでも、その移り変わりと光の恵みを享受出来るからです。それを更にガラス屋根で内部化すれば、室内と一体化した《内の庭》として、大きな拡がりが得られることでしょう。
 なお住宅は生活の背景となるべく、過剰なデザインを避け、シンプルに徹するべきだと考えます。そこにオーナーの趣味が加わり、自然の変化が味付けとなって、飽きずに永く愛される建築になってほしい、そしてそこでいきいきした生活が送られてほしい ---- それが一番の願いです。

 

住宅を建築される方へ

家を設計するとは、すなわち 自分と家族の生活を設計することに他なりません。 本当はどういう生活をしたいのか --- そのためには、経験豊富な建築家と気楽に何度も話し合い、話しているうちに、それまでは漠然としていた自分たちの理想が、だんだんはっきりしてくるというプロセスが一番大切です。
こうした作業を一緒に進めてゆくためには、何よりも 価値観が共有できる自分と似た環境にいる建築家、
それも自分のデザインを押しつけたがる偉ぶった《デザイナー》の先生ではなく、話しやすくてバカな夢でも何でもぶつけられる親しみやすい人が相応しいと思います。 そういう点から選んだ建築家は、一生の友人ともなることでしょう。


(C)株式会社 榎本弘之建築研究所