作品への想い-2
建築を直接的に取り巻く雑多なものたち----コストや法規・敷地条件・近隣・工法・施主の要望からエコロジーまで----それらは生憎なことに、ことごとく相反する。広くしたいが金がない、明るくしたいがビルの谷間で、ゆったり住みたいが隣家の視線が気になる、けれど夢ばかりは大きく膨らんでしまう、、、それらを上手く調停するのが建築家の仕事とさえ言われそうな状況である。特に日本は敷地は狭く法規は厳しく工事単価は高過ぎて、建築家受難の時代である。 やはり最大のコンフリクトは、広さに関するものである。しかし何も実際に広い必要はない。中で大パーティを開く訳でもあるまいし、広々と《感じ》られればよいのである。ゆったりとした《感覚》が得られればよいのだ。そのためにずっと取り組んできた方法の一つが、内外の一体化である。10帖の部屋でも10帖のテラスと一体化させれば、部屋はテラスを通して空まで拡がり、20帖以上の拡がりが感じられる。テラスは床だけだからコストも低く法規も緩い。しかしそのためには材料やディテール、各部の関係性も重要であり、ただ単にテラスがあればよいと言うものではないのである。 これまで試みてきた方法としては、まず内外の一体化を目指して |