--ニライナ・リゾート 西表島--

 

沖縄の中でも離島では、建設資材はすべて独占企業であるフェリー会社に依頼して、その都度 那覇や本土から運ばねばなりません。このため材料費は信じられないくらい高価です。生コンクリートにしても、東京なら立米1万円+αくらいのところ、西表島では26、000円もするのです。
建設作業員にしても職種は限られており、一寸の工事のためにわざわざ本土から専門の職人を呼ぶなどと言うことはとても出来ません。
このため予算内で夢を実現させるには様々な工夫が必要でした。幸いこの西表島には宮崎から移り住んできた優秀な宮大工がおり、上図のような非常に合理的な構法を開発することが出来ました。

壁は安価な杉足場板一枚のみ。これを雇い実でパネル化して建て方の時に柱に掘った溝にはめ込みます。36mmの杉板は、それ一枚だけで外装から内装・断熱・調湿までこなしてしまいます。サッシュにしても木造内付サッシュのツバを、やはり柱に掘った鋸目に差し込むだけ。雨が降っても杉が膨張して隙間を塞ぐので、シーリングも不要です。

たったこれだけの、いわば《杉板ログハウス》構法のおかげで、異常に高い材料費にもかからわず、ローコストかつ短期間で快適な建築が完成しました。しかもその空間は木質のぬくもりと香りに溢れており、都会の喧騒を逃れ来る人々に《リゾート》の癒しを与えてくれるものとなっています。

 


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